かつて技術者をやっていたころに立てた問いについて、其の解への道がハイデガーの技術論にあるのではなかろうかと思い、ちょこちょこと本を漁ったりしましたが、結局は「なんかおかしい」ってのが、感触でした。
最近、新しく訳本が出され、其れと共に解説本も出されましたので読んでますが、これが一番しっくり来そうな本です。
かつて出版された本としては小島威彦氏の「ハイデッガー 技術論」が筆頭になると思いますが、此れは探してももうアマゾンからは外されてしまって専門の古書屋か国会図書館くらいにしかなくなってしまってます(私が生まれるより前の本ですので)。
ホントはハイデガーの講演が行われた時代に近い書物が良く内容を捉えている筈と考えますが、この本は私にとっては古文の様な読み心地と、ただの直訳なのではなかろうかと云う感触がありました。
概ね2000年を過ぎた頃から技術論の書籍が何点か出されています。この頃の筆頭は加藤尚武氏による書籍でしょうか。1993だったか94年くらいにTVで技術論を紹介していましたので、そこら辺を契機として出てきたのではなかろうかと思います。
私もそのTV(Eテレ)でハイデガーの技術論を知りました。
ただこの頃の技術論の引用はバブル後であった為か、いわゆる人格喪失を強調する傾向にあるように感じられ、何だか哲学として語る内容としては底が浅い様な違和感がありました。
そんなんでハイデガーの技術論とは、もう数十年も前なので21世紀では古くなってしまっちゃったのかなとか思えて来て、まあハイデガーからは距離を置いて自分は自分の問いを進めた方が良いのかなとか考えてたのが去年までです。
去年、森一郎氏から「技術とは何だろうか」と云うハイデガー技術論の新訳?が出され、単純に文庫本で安かっただけの動機と、わざわざ「~は何だろうか」と云う本題を用いている事に興味を持って読んでみました。
結局はこの訳本がいちばんハイデガーの意を正しく伝えているのであろうとの感触があります。それによって、以前の訳本がどちらかといえば訳者の意識が入り込み易かった事であって、ハイデガーの考えは次元の異なるとこにあったことが感じられました。
ですが、ハイデガーの真意に近づいた半面、私の自分の探求する方向とは少しずれている事も明らかになってしまいました。
一応、「技術とは何だろうか」の方は読み終えていて、解説書ともいえる「核時代のテクノロジー論」を3割程度読み進めている途中ですが、ハイデガー技術論の背景とかハイデガーの研究などとかを絡めて解説していますので、技術論を知るにはとても良い内容と思えます。
「ハイデガーの技術論」もホントは「技術とは何だろう」の方が正鵠であろうとも思えます。
ちょっと最近は忙しくて本を読める時間がなかなか採れないので、読み終わるのがいつ頃になるのか不安でもありますが、どこかで時間を遣り繰りして完読したいです。
なんせ、R・ドーキンスが面白そうな本「さらば、神よ 科学こそが道を作る」を出したので、此れが早く読みたくて仕方がないですので、、、
ってか、他にも買っただけで読んでいない本が山積みですけど、、、
本を買うのを控えれば、そう少し肉が食えるけど、、
やっぱ、本。
By Kisaki.